本計画は、低層部に小規模な温浴施設、上層部に共同住宅を重ねた複合用途の中小規模開発である。安田不動産による、地域に寄り添うスケール感を重視した、中小規模開発の一連のプロジェクトの一つとして位置づけられている。
温浴施設部分は、1 階に湯上がりどころを兼ねたカフェを設け、2〜3 階にかけて浴室ゾーンを構成している。浴室ゾーンには、風を感じながら湯に浸かることができる半露天風呂を設置し、二重屋根の構成によって周囲の建物からの視線を遮りつつ、自然な通風を確保している。
共同住宅部分は、自然光が降り注ぐトップライトを活かした間接照明を配し、光が奥へと導くような構成とすることで、外部から室内への移行が自然で心地よいものとなるよう配慮している。
外装デザインにおいては、ラーメン構造の特徴を活かしながらも、硬質な印象を和らげるために柱に緩やかな膨らみをもたせている。この柔らかなフォルムは、温浴施設としての親しみやすさや安心感を外観に表現すると同時に、通りに対して圧迫感を与えないよう配慮したものである。分節化され、街並みに調和するようなスケール感を持たせており、素材の選定においても過度な主張を避け、周囲の環境に馴染む落ち着いた色調と質感を基調としている。温浴施設と住宅が一体となりながらも、各用途の性格がにじみ出るような繊細な外観構成を意図している。
公衆浴場(小型温浴施設)・共同住宅 28 戸/東京都中央区日本橋浜町3-27-11
Use : Public Bathhouse + Residential Complex
Building site : Nihonbashi-Hamacho, Chuo-ku, Tokyo
Total floor area :1,592㎡
Photo : Munetaka Onodera