空気の流れとくつろぎをもたらす曲面の床

まるほん旅館は群馬県の沢渡温泉で400年近く続く老舗旅館である。この旅館の風呂小屋の建替えを行った。建物は単純な切妻形状であるが、内部では曲面スラブが1階の浴室と2階の湯上り処を分ける構成となっている。浴室では、曲面スラブにそって空気が流れることで換気扇のない静かな環境で温泉に入れることと、拡散された光が沢渡温泉特有の透明度感を際立たせることを意図した。また2階の湯上り処では、曲面スラブが大きな背もたれとなり、風呂上がりに眺望を楽しみながらゆっくりとリラックスできる環境を作り出している。CFD解析による空気の流れと、背もたれとしての座り心地を検討しながら曲面形状を決定した。快適な環境をつくるために必要な光、空気、眺望という要素を、一枚の曲面スラブによって統合することを試み、小さな建物の中に豊かな快適性を作りだした。

まるほん旅館風呂小屋Bath house Maruhon

温泉旅館・浴場/群馬県吾妻郡中之条町

Use : Japansese-style hotel
Building site : SawatariOnsen,Gunma
Total floor area :40.9㎡
Photo : Koji Fujii/Nacasa and Partners Inc.

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